疑問に思う点を探しながら何度も読み返したら、
物語の中の全てが疑問に思えてきた。
全てが少しだけズレているように思えてならない。
そのなかでも毎回ひっかかるのは、
「風がどうと吹いてきて、葉はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。」
という部分である。
この描写は物語の中に二回出て来る。
一回目の「どう」という風の後では、二人は横っ腹が痛くなったり、歩くのが嫌になり、結局食べられそうになる。
二回目に「どう」と風が吹いた後には、連れの猟師に発見され、元気づいて団子まで食べたりする。
つまり、この「どう」と吹く風は、何かの始まりと終わりの合図であるはずだ。
しかし、どうして風なのか。
風は、誰かが吹かせることの出来るものではない。
「吹く」ものであるはずだ。
風が吹くということは、地球が回ることと同じくらい自然的なことで、そこに意味のあることではないと私は思う。
しかし、この物語に出て来る風にはどうも意味があるようだ。
ならば、何が風に意味を持たせたのか。
そして、何故あの二人はそれに少しも気付かなかったのか。
そもそも「どう」と鳴り、木をごとんごとんと鳴らしたものは、本当に風だったのだろうか。
風には、姿も色もにおいもないから、私達の肌の上を転がり、木々を揺らす目に見えない物は、全て「風」だと認識するしかない。
しかし、それはときによっては目に見えない怪物の吐く息かもしれないし、目に見えない何かが目の前を駆け抜けているのかもしれない。
シロクマの様な犬がめまいを起こしてしまう程の山奥ならば、こんな話だっておかしくはないはずだ。
ならば、私が合図だと読み取った、「どう」と鳴り、木をごとんごとんと鳴らしたものは何だったのだろうか。
ヒントを探そうと、いくら読み返しても余計にわからなくなってしまう。
- 2005/05/23(月) 17:36:53|
- 文芸研究実習1|
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